農産物が畑から食卓に届くまでに登場する担い手を、大きく3段階に分けて整理する。一般的な語も含め、各役割の意味・具体例・規模を示す。詳細は各wikilinkの個別ページを参照。

この図は農産物(主に青果)の商流を単純化したもの。実際は「どのルートを通るか」が品目・産地・取引先で大きく異なり、近年は卸売市場を通さない市場外流通(産直・直接契約)が増えている。

全体像

flowchart LR
  subgraph P["① 生産(作る)"]
    direction TB
    P1["個人農家・認定農業者"]
    P2["農業法人"]
    P3["集落営農・農事組合法人"]
    P4["出荷組合"]
    P5["産地JA"]
  end
  subgraph MK["② つなぐ:市場流通"]
    direction TB
    M1["JA全農・系統集出荷"]
    M2["卸売市場<br/>卸売業者 → 仲卸"]
  end
  subgraph MG["② つなぐ:市場外流通"]
    direction TB
    G1["食品商社・卸"]
    G2["産直・直送PF"]
  end
  subgraph C["③ 実需・小売・消費"]
    direction TB
    C1["量販店・百貨店"]
    C2["生協"]
    C3["外食・飲食店"]
    C4["食品加工・製造"]
    C5["給食・ケータリング"]
    C6["直売所"]
    C7["個人消費者"]
  end

  P1 --> P5
  P3 --> P5
  P1 --> P4
  P3 --> P4

  %% 市場流通(実線)
  P5 -->|系統| M1
  P5 --> M2
  P4 -->|市場出荷| M2
  P2 -->|市場出荷| M2
  M1 --> M2
  M1 --> C1
  M1 --> C2
  M2 --> C1
  M2 --> C3

  %% 市場外流通・産直(破線)=出荷組合・農業法人も「つなぐ」
  P2 -. 契約 .-> G1
  P2 -. 産直 .-> G2
  P4 -. 産直 .-> G2
  P1 -. 産直 .-> G2
  P4 -. 直販 .-> C1
  P2 -. 直販 .-> C3
  P1 -. 出品 .-> C6
  P4 -. 直売 .-> C6
  G1 --> C1
  G1 --> C4
  G1 --> C5
  G2 -.-> C3
  G2 -.-> C7
  C6 -.-> C7

  C1 --> C7
  C2 --> C7
  C3 --> C7

  classDef bridge stroke-width:3px,stroke-dasharray:5 3;
  class P2,P4 bridge;

図の見方: 実線=市場流通卸売市場JA全農中間流通を経由)、破線=市場外流通産直・直接契約で実需者・消費者へ直結)。太い点線枠(農業法人・出荷組合)=生産者でありながら集荷・販売(=つなぐ)機能も担う担い手で、地元向けの産直など短い流通経路を自ら持つことが多い。

主な流通ルート:

  • 市場流通 … 生産者→産地JA→JA全農(系統)、および 産地JA・出荷組合・農業法人→卸売市場卸売業者仲卸)→量販店・外食。
  • 市場外流通農業法人・出荷組合・個人農家が、産直プラットフォーム・食品商社・直接契約・直売を通じて実需者・消費者へ直接届ける。

① 生産(作る)

農産物を生産する側。個人経営が大半だが、法人化・組織化が進む。関連: 担い手

登場人物ざっくり説明具体例規模(年次)
個人農家・認定農業者世帯単位で経営する農家。うち市町村が経営改善計画を認めたのが認定農業者。家族経営の農家認定農業者 約22.0万経営体(2023年3月末)出典
農業法人(株式会社等) 🔗つなぐ農業を営む会社法人。大規模・施設園芸で増加。自ら販売・産直・直接契約を行い「つなぐ」機能も担う(株)サラダボウル、(株)スプレッド法人経営体 約3.3万(2025年概数)出典
集落営農・農事組合法人集落単位で機械・農地・作業を共同化する営農組織/農協法に基づく法人(農業法人の一種)。集落営農組合、農事組合法人集落営農 13,998組織(2024年2月)出典
出荷組合 🔗つなぐ生産者が任意に組織する出荷団体。集荷・選別して市場出荷や**産直(市場外)**も行う集荷・つなぐの担い手。産地の出荷組合
産地JA産地の農業協同組合。生産者から集荷し**共販(系統出荷)**の起点。JAグループの系統に接続。各地域JA総合農協 490(2024年4月)出典

② つなぐ(集荷・流通・卸)

生産と消費の間をつなぐ中間流通。大きく 市場流通卸売市場を経由)と 市場外流通(産直・直接契約で直結)に分かれる。集荷・分荷・価格形成・代金決済の4機能は 中間流通 を参照。なお ① の産地JA・出荷組合・農業法人も、この「つなぐ」機能の一部を担う(系統集出荷や自らの産直販売)。

市場流通

登場人物ざっくり説明具体例規模(年次)
JA全農・系統集出荷JAグループの経済事業を全国で担う連合会。産地JAが集めた農産物を広域販売。JA全農青果センター
卸売市場(中央/地方)生鮮を全国から集荷し、せり・相対で価格形成・分荷する流通の基幹。豊洲市場、大田市場、大阪本場中央64市場・地方909市場(令和5年度末)出典
卸売業者(荷受)市場内で産地から集荷し、仲卸・売買参加者へ卸す許可制の会社。東京青果、大阪中央青果青果卸 64社(中央市場、令和5年度末)
仲卸(中間卸売業者)卸売業者から買い受け、小分け・目利きして小売・飲食へ卸す。各市場の仲卸青果仲卸 1,177社(中央市場、令和5年度末)

市場外流通

登場人物ざっくり説明具体例規模(年次)
食品商社・大手卸加工食品中心にメーカーと小売・外食をつなぐ卸。市場を通さず商流を担う。三菱食品、国分グループ、日本アクセス、丸紅食料国分 売上2.16兆円(2024年度)出典
産直・直送プラットフォーム市場を通さず生産者と消費者・実需者を直結。市場外流通の代表。ポケマル、farmO農産物流通システム一覧
生産者自身の直販農業法人・出荷組合・個人農家が直接契約・直売・EC で販売。契約栽培、直売所出品(① の🔗つなぐ担い手)

流通業者(物流・3PL) は市場流通・市場外流通のどちらも下支えする横断的な担い手。輸送・保管・配送とコールドチェーンを担う。例: 日本通運、鈴与、SBSロジコム。→ 中間流通(商物分離)

③ 実需・小売・消費(売る・使う・食べる)

農産物を仕入れて売る/加工する/食べる側。事業者としての買い手を実需者と呼ぶ。

登場人物ざっくり説明具体例規模(年次)
量販店・大手スーパー・百貨店最大級の小売バイヤー。規格・数量・価格の安定を重視。イオン、ライフ、三越伊勢丹
生協(コープ)組合員が出資・利用する協同組合。共同購入・個配・産直。日本生協連、コープデリ、コープこうべ組合員 3,063万人(2024年度)出典
外食チェーン・飲食店店舗で調理提供する外食産業。業務用食材の大口実需者すかいらーくHD、ゼンショーHD
食品加工・製造業者農産物を原料に加工・製造するメーカー。実需者の中核。カゴメ、味の素、日清食品
給食・ケータリング業者学校・病院・事業所へ継続的に食事提供。地産地消と縁が深い。エームサービス、学校・病院給食
中食(惣菜)業者弁当・惣菜を製造販売。外食と内食の中間。加工原料の大口需要。スーパー・CVSの惣菜、弁当製造惣菜市場 11.3兆円(2024年)出典
直売所・道の駅生産者が消費者へ直接販売する施設。中間流通を短縮。JAファーマーズマーケット、道の駅直売所販売額 1.13兆円(2023年度)出典
個人消費者家庭内消費(内食)の最終消費者。産直ECで生産者から直接購入も。産直サイト利用者

補足

  • キャプチャ由来の概数(例「約600JA」「個人農家140万戸」)は年次が古い。最新の一次統計では総合農協490(2024年4月)、農業経営体は**82.8万(2025年概数)**まで減少している(個人経営体は103.7万=2020年)。
  • 実需者」は業界用語で、投機・転売でなく実際に農産物を使う事業者(食品製造・外食・中食・輸出等)を指し、個人消費者とは区別される。

関連: 卸売市場中間流通市場外流通農産物流通システム一覧担い手